【ナノローバー で できること】
- 数学やプログラミングの結果を、現物で確認することができる
数学のグラフやプログラミングの概念について、ロボットの動作や描画という現物を見て確認、理解することができます。
- Arduinoのプログラミングが学習できる
ナノローバーでは、電子工作の基板として定着しているArduino(アルディーノ)を採用しています。LEDやペンの制御も含め、ロボットのプログラミングを基礎から学ぶことができます。
- ペンやLEDを活用し、アート作品にチャレンジ
ナノローバーにはLEDやペンが搭載されているので、光の軌跡を使ったアートや、ペンを使った複数台でのドローイングなど、これまでにない作品製作のツールとしての活用が可能です。
卓上サイズのプロッターロボット
ナノローバーは、ペンのアップダウン機能を備えた図形描画ロボットです。教材として、プログラミングを学習する目的にとどまらず、数学などの一般教科を、より効率良く、楽しく、実感を伴って学習するためのツールとして活用できます。
本製品を教育現場に導入することにより、プログラミングを学習する目的にも、数学などの一般教科をより良く学習するためのツールとしても活用できます。特に数学においては、数学の応用先としてのロボット工学への理解と、ロボット工学を支える必須知識としての数学への理解とが双方向に深まり、実社会で真に役立つ知識や技術の習得に、効果的に寄与することが期待できます。
東京大学名誉教授 佐藤知正 先生からのコメント
数学は、産業社会の基礎である。今回発売した「ナノローバー」は、浜学園グループが開発した「ロボット数学教室」において、数学学習に、次のような効果をもたらします。
まず、1)数学にとって根本的に重要であるが、困難なことでもある“数学概念の理解”を、ロボットの動きという具体例をもって深いレベルで可能にします。
次に、2)応用力を養うために不可欠な演習問題に関して、ロボットに絵を書かせてみるというような、その正解か不正解が、直ちに目に見える形で、判断できるため、興味を持ち続けて、結果的に多くの問題を解くことで、真の応用力が養えます。
最後に、3)ロボット応用実例が数多く提示されますので、学んだ数学や数学概念が、実社会でわれわれの身近に役に立っていることが実感でき、さらに、数学への学習意欲をかきたてます。
数式を入力するだけで、そのままグラフとして紙面に描画可能
教材として求められる扱いやすさを実現するため、数学の数式を直接入力できる専用ソフトウェア「nanoRoverMath(ナノローバー・マス)」を新規開発しました。
プログラミング不要で、ソフトウェアに入力した数式が、そのままグラフとして紙面に描画されます。
また、ソフトウェア上で速度、加速度、移動距離等を指定し、「Goボタン」を押下することで動作させることもできます。
専用ソフトウェアnanoRoverMathは、既発売の弊社製品アカデミックスカラロボットにも対応しており、数式によって指定した軌跡に沿ってアームを動かすことも可能です。
高精度エンコーダーとペンアップダウン機構を搭載
ナノローバーは小型の筐体でありながら、高精度のエンコーダー付きギヤードモーターが内蔵されています。
エンコーダーのフィードバックを生かした緻密なモーター制御と、精密な本体構造により、安定した描画を実現しています。
描画用のペンを保持する部分には、ペンをアップダウンする機構も備えられています。線の描画が不要な場合にはペンをアップすることで、グラフや図形を正しく描き出すことができます。
動作状態を示すフルカラーLEDを搭載
筐体のフロント部分に、ロボットの動作状態を把握することができるフルカラーLEDを搭載しました。
プログラム開発時には発光状態の制御も可能で、LEDを活用したロボットモーションの演出にも活用できます。
さまざまなプログラム、制御方法に対応
ナノローバーには、プログラミング不要な専用ソフトウェアnanoRoverMathが付属しますが、それ以外にも、Arduino IDEを用いたプログラムの開発と、ROSデバイスとしての制御に対応しています。また、通信方式については、USBケーブルでの有線接続、Wi-Fiでの無線接続、BluetoothRでの無線接続に対応しています。
- nanoRoverMath付属
- 専用ソフトウェアのnanoRoverMathは、USBケーブルの有線接続のみに対応しています。
- Arduino IDE対応
- Arduino IDEでのプログラミング用には、左右車輪の制御とエンコーダー値の取得、LEDの制御に関する関数などが用意されています。
Arduino IDEを用いた開発においては、PC等と本製品をUSBケーブルにて接続する必要があります。
また、開発したプログラムの内容によっては、USBシリアル、Wi-Fi、BluetoothRでの通信が可能となります。
- ROS対応
- Arduino IDEを用いて、本製品に付属する専用のスケッチを描き込むことで、ナノローバーをROSメッセージ通信に対応したデバイスとして動作させることができます。
ROSの制御については、USBケーブルでの有線接続と、Wi-Fiでの無線接続に対応しています。
- 無線操縦のためのサンプルソース付属
- 本製品には、Wi-FiやBluetoothR経由でPC等から制御するためのサンプルソースが付属しています。
Visual StudioRなどの開発環境にてコンパイルすることで、無線操縦のサンプルプログラムとして活用することができます。
ナノローバー用 描画サンプルプアプリ「nanoRoverDraw」
ナノローバーのサンプルアプリとして、PCの画面上に描画した線をナノローバーに描かせることができる「nanoRoverDraw」をリリースしました。
ナノローバーは、数式のグラフを紙に描くことができる教材ロボットですが、ソフトウェアを開発することでこの「nanoRoverDraw」のような、新しい機能を実現することができます。ぜひお試しください。
「nanoRoverDraw」の動作にはWindows7以降のPCが必要です。詳しくはZipファイル内のドキュメントをご確認ください。
また、本ソフトウェアはサンプルアプリですので、サポートの対象外となります。
動作環境等に関するお問い合わせにつきましては、お答えできないことがございます。
nanoRoverDraw(zip形式)
開発の経緯
本製品は、浜学園グループ 株式会社HILSと、東京大学名誉教授 佐藤知正 先生、埼玉大学大学院理工学研究科准教授 琴坂信哉 先生、千葉工業大学先進工学部教授 林原靖男 先生の諸先生方とで開発された、画期的な数学教育「ロボット数学教室」で使用できる教材ロボットとして設計されました。
ロボット数学教室は、授業で学んだ数学の公式や課題を、ロボットへ与えれた具体的ミッションを達成するためのロボットの動きを求める過程で適用し解を求め、その解で実際にロボットを目の前で動かしてみて、正解か否かを確認できる点に、大きな特徴があります。つまり、抽象的な概念と考えられがちな数学に対して、ロボットという目に見える応用例を用意することで、概念がどのように実際に応用できるのかや、実社会でそれがどのように役立っているか、ひいては、学んだ知識がどのような目的を持っているのかを、体感的に理解することができるようになります。
ヴイストン株式会社では、ロボット数学教室に対応するロボット教材として、アームタイプの「アカデミックスカラロボット」を発売し、好評を博していますが、今回、ペンのアップダウン機能を備えた図形描画ロボットとして、本製品「ナノローバー」を新規開発しました。教材として、プログラミングを学習する目的にとどまらず、数学などの一般教科を、より効率良く、楽しく、実感を伴って学習するためのツールとして活用できます。
各種ダウンロード
ナノローバーに関連する取扱説明書などは、下記よりダウンロードいただけます。
取扱説明書、専用モーションエディタ
USBシリアルドライバーの配布先(外部リンク)
サンプルプログラム
参考資料
カタログ
Vstone公式YouTubeチャンネル
YouTubeチャンネルにて、弊社製品を題材とした解説動画や活用動画などを配信しております。
毎週配信を目標に取り組んでおりますので、動画をお楽しみ頂けましたらチャンネル登録・高評価をお願いします!!
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学習のアイディア
ナノローバーを使った数学やロボット実習について、以下のような例題が考えられます。
なお、ナノローバー用に用意しているA4サイズのグラフ用紙は、等倍印刷で5mmのマス目となるように作られていますので、この紙を用いることで、ロボットによる実習を効率よくに進められます。
【例題1】紙面上で指定する2点を通る線を引く
座標により指定される2つの点(a,b)および(c,d)について、2点を通るグラフの数式を導き出すことで、ナノローバーにその2点を通る線を描画させることができます。
(a,b)および(c,d)の2つの解を満たす数式ですので、最もシンプルには、2点を通る直線(一次関数)という形になると考えられます。
【例題2】紙面上で指定する2点および原点を通る線を引く
この場合、問題では「1本の線」とは指定されていないので、与えられる2つの点を(e,f)(g,h)とすると、「(e,f)と原点(0,0)とを通る直線」と、「(g,h)と原点(0,0)とを通る直線」の2つの線を引くことによって、課題を満たすことができると考えられます。
また、(e,f)(g,h)の値が適切に指定されていれば、「(e,f)と(g,h)と原点(0,0)とを通る二次関数の曲線」として描画することも可能でしょう。
仮に、問題文が「紙面上で指定する2点と原点を通る二次関数を求め、その線を引く」や、「紙面上で指定する2点と原点を通る1本の線を引く」となっていると、上述のうち二次関数の曲線を描画する側のみが正解ということになると考えられます。この場合、あらかじめ指定される座標(e,f)と(g,h)は、原点を通る二次関数の解となっている必要があります。
【例題3】紙面上で指定する線分と交わらない線を引く
紙面上で指定する線分とは、例えば(y=4*x)で、縦軸の範囲が(0<y)で示される部分に、壁があるようなイメージです。
この壁に「ロボットが衝突しないで動く」ことを念頭に、一次関数や二次関数の線をナノローバーに描かせるという想定をしています。
【例題4】紙面上で指定する線分を通らず、かつ、指定する2点を通る1本の線を引く
例題3と同様に、壁を想定した部分を通らないような線を引く、という課題です。同時に、指定する2点の座標を適切に配置することで、「特定の線分と交わらない二次関数の曲線」などを解とすることができます。これはちょうど、ロボットが障害物を回避して物品を運搬する動作の再現に繋がると言えます。
【例題5】紙面上で指定する線分を「ナノローバーの本体が」通らないように動作し、かつ、指定する2点を通る1本の線を引く
これは例題4とよく似た課題ですが、指定する線分と交わらない対象が「ナノローバーの本体」となっている点がポイントです。すなわち、これまでは「ナノローバーが描くグラフの線」のみを想定していればよかったのに対し、今回は「実際に幅を持った物体」として動くときに、どのように考えるか、という課題が加わる形となります。
考え方としては、
- ナノローバーの形状を円に見立て、「一定の半径を持った円が、特定の線分と交わらないように二次関数の曲線を描く」と考える
- 交わらない対象(壁と想定している部分)を、ナノローバー分の厚みを持ったエリアであると想定し、「その範囲と交わらないような二次曲線を描く」と考える
といったものが想定されます。
いずれの場合でも、想定する数学の範囲を超える部分が出てくるかも知れませんが、「壁と想定するエリア」の形状を長方形と仮定するなど、計算を容易にするための簡素化を行ってもよいでしょう。
ロボットというハードウェアを使って学ぶことのメリットについて
上述のような課題を、実際にナノローバー本体を使いながら学習していくと、「計算で入力した数式と、実際にナノローバーが描く線が異なる」という現象が発生することがあります。
ナノローバーを原点に置く際のわずかな位置のズレや、ナノローバーが動作する中で発生する車輪の滑り、描画する紙面の凹凸による動作のずれなど、現実世界で動くロボットには、理想的な計算では起こらない様々な外乱が作用します(詳しくは製品FAQをご参照ください)。
実際に社会の中で役立っているロボットについても同様で、ズレが発生しないように正確に動くことと同時に、生じたズレなどを正しく把握し、修正する仕組みなどを多くの場面で活用しています。ロボット教材を学習の中で活用していく際には、このような「理想値からのズレ」に対して、原因の把握や対処法の実施など、現実的にこれに対処することが不可欠であるということが経験として会得できるといえます。
ロボットというハードウェアを学習のツールとすることで、卓上で行う座学でありながら、単なる知識の詰め込みではない、失敗と成功、現実の経験に裏付けられた学びを得ることが期待できます。
製品仕様
サイズ | 66(W)×69(D)×95(H)[mm] |
重量 | 約169g(電池搭載時) |
駆動モータ | 車輪×2、ペンの上下機構 |
インターフェース | USBコネクター、フルカラーLED×9 |
付属ソフトウェア | 専用グラフ描画ソフト「nanoRover Math」 |
電源 | 単3アルカリ乾電池×2(別売) または単3Ni-MH充電池×2(別売) |
内容物 | 本体、サインペン、microUSBケーブル |
※製品仕様その他は、予告なく変更する場合がございます。
必要環境
nanoRoverMath | WindowsR7/8/8.1/10 (.Net FrameworkR 4.5.2以上) |
Arduino IDE | 1.8.9で動作確認 |
ROS | 動作環境はUbuntu 18.04、バージョンはROS melodicで動作確認 |
その他 | 外部と通信して制御する際のWindowsR用サンプルプログラムはVisual StudioR 2015以降に対応 |
よくあるご質問(FAQ)
- 電源が入りません
- 電池の向きが正しいか、電池の容量が十分残っているかを確認してください。
- 電源がOFFになりません
- PCとUSBケーブルで接続していると電源がOFFになりません。
- 勝手に電源がOFFになります
-
- nanoRoverMath用のプログラムで使用している場合、電源ONの状態で5分程度放置すると自動的に電源が切れます。
- 電池の容量が不足していると、動作中に急に電源が切れたりリセットがかかる場合があります。
- PCから認識されません
-
- USBケーブルがしっかり刺さっているかご確認ください。
- USBシリアルドライバーがお使いのPCにインストールされているかご確認ください。
- PCによっては接続した機器を認識しないUSBポートが存在します。USBポート及びPCを変えて改善するかご確認ください。
- PCから認識されていますがnanoRoverMathから通信できません
- PCによっては、USBシリアルドライバーのインストール後再起動することで安定して接続できる場合があります。
- SSID、パスワードに間違いがないのに、Wi-FiルーターからIPアドレスが取得できません
- 多人数でルーターを使用している場合は、ルーターに繋がりにくくなることがあります。また、5Ghzの帯域は使用できません。
- 家から持ち出して別の場所で使用したらWi-Fiに繋がらなくなりました
- 出先で使用するWi-FiルーターのSSID、パスワードを再度設定してください。
- 付属のペン以外を使えますか?
- ペンの種類・形状によってはペンホルダに装着して描画できる可能性がありますが、線の濃淡やペンアップダウンの挙動などに影響が出る場合があります。
- 描画結果にずれが生じます
-
- 描画開始時に手でロボットを設置する場所・方向のずれにより、多少の誤差が生じる場合があります。
- nanoRoverMathでの描画の場合、描画アルゴリズムに近似曲線を用いている関係上、一部の数式の描画でずれが顕著にみられる場合があります。
- USBケーブルを接続したまま描画するとケーブルが干渉して描画精度に影響する場合があります。本体単体でご利用の際はケーブルを接続したまま描画していないかご確認ください。