メカナムローバーVer.3.0は、弊社製研究開発用台車ロボット「メカナムローバーVer2.1」の後継機です。可搬重量約40kgの大型筐体、追加工やカスタマイズを行いやすいアルミニウム製、ソフトウェア開発を容易なものとするArduino IDE対応、柔軟で高度な制御を実現するROS1対応といった数多くの特徴をそのまま継承し、さらに、駆動輪にダイレクトドライブタイプのインホイールモーターを採用し、従来機種と比較し動作音の静音化に成功しました。
メカナムローバーは、前後・左右・回転を組み合わせた自由度の高い移動ができることが大きな特徴で、細かい位置制御が求められる搬送・自律移動などの研究開発プロジェクトに好適です。また、様々な目的に合わせた豊富なオプションを用意することにより、求められる用途に合わせて機能を拡張、カスタマイズすることが可能です。
ROS 2対応ファームウェアを公開
研究開発用台車ロボット「メカナムローバーVer.3.0」について、制御基板であるVS-WRC058をROS 2に対応させるファームウェアを公開しました。
ファームウェアはサンプルスケッチの形で提供され、Arduino IDEにて対象の基板に書き込んで使用します。これにより、micro-ROSを使用してROS 2から対象機種を制御することが可能となります。
なお、Arduino IDEを用いたスケッチ書き込みについて、「ROS PC(UM350)オプション」から直接行うことはできません。(UM350以外のROS PCでは書き込み可能です)詳細は弊社までお問い合わせください。
配布URLにつきましては、対象製品に添付された資料に記載のURLからダウンロードが可能です。
ROS 2で使用可能なサンプルパッケージを公開
本体のROS 2対応に合わせて、ROS 2環境で使用可能なサンプルパッケージを公開しました。今回公開した主な機能は以下の通りです
【サンプルパッケージ一覧】
- キーボードからの操作
- マウスからの操作
- 走行速度情報をオドメトリに変換
- 変換したオドメトリを機体のモデルファイルと共にrviz2に表示
ROS 2使用時の推奨環境
今回公開したROS 2対応ファームウェアおよびサンプル類について、推奨の使用環境は以下の通りです。
【ROS 2使用時の推奨動作環境】
OS | Ubuntu 22.04 |
ROS | ROS 2 Humble |
CPU | AMD Ryzen™ 5 3550H |
RAM | 16GB |
ストレージ | M.2 SSD 250GB |
グラフィック | Radeon™ Vega 8 Graphics |
※上記条件を満たしていても、相性などにより、正常に動作しない場合があります。
※仮想環境は、タイムラグにより安全な制御が行えない場合があり、推奨しておりません。
インホイールモーターを採用した静音構造
昨今の自律制御台車ロボットは、その用途において音声認識や周辺音量の計測などが必要となる場面も多く、台車ロボットそのものが静粛に動作することが求められています。本製品では、車輪の駆動にインホイールモーターを採用することにより、旧製品と比較し動作音を大きく低減しています。
可搬重量約40㎏を実現した四輪メカナムホイール構造
本製品では、前後・左右・回転の動きを自由に組み合わせることができる四輪メカナムホイールを採用しています。台車ロボット本体の向きを変えないまま真横や斜め方向に移動するなど、外部からの位置制御に柔軟に対応できることが大きな特徴です。
また、約40㎏の可搬重量を実現しつつ、実測での最高速度は1.6m/sを達成しており、研究開発用の大型台車でありながら、実用・実務も見据えた本格的な実証実験などにも対応します。
※本製品は乗用を意図して設計されたものではありません。
有線 / 無線接続による制御が可能
メカナムローバーVer.3.0は、Wi-Fiによる無線通信と有線のUSBシリアル通信に対応しています。指定のコマンドを用いることで、PCやタブレットなど、様々なデバイスから制御することが可能です。
また、Bluetooth接続のゲームパッド型無線コントローラーが付属するため、PC等を接続しなくても本体を無線操縦することができます。アナログスティックを使用して、前後へ移動、回転させることもでき、動作確認のための手動操縦、非常時の操作手段等として使用可能です(なお、本製品の制御基板である「VS-WRC058」に搭載されているBluetooth機能は、付属する無線コントローラーを接続する用途に特化したものとなっています)。
Arduino IDEでプログラム可能
本製品に搭載されている制御ボード「VS-WRC058」には、ESP32-WROOM-32マイコンが搭載されており、Arduino IDEを用いて制御プログラムを作成することができます。サンプルコードはArduinoライブラリーの形で製品に付属し提供されますので、ユーザー自身の手でファームウェアのカスタマイズを実施することも可能です。
※VS-WRC058をArduino IDEを用いてプログラミングする場合、Arduino IDE 1.8.13以上が動作する環境が必要です。
拡張しやすいアルミフレームを採用
本製品の本体フレームはアルミ部材にて構成されています。十分な強度を持つと同時に加工が容易なので、ユーザー自身の手で、様々な拡張を容易に行うことができます。上部天板に取り付け穴を開けて部品を追加することも可能で、研究・開発の推進に欠かせない自由な拡張性をもたらします。
非常停止スイッチを標準搭載
本製品には、従来のモデルで別売オプションであった「非常停止スイッチ」を標準搭載しています。また、非常停止スイッチの取り付けられた側を台車ロボットの「前」とするか「後ろ」とするかについては、配線あるいはプログラムを変更することで切り替えが可能です。実運用の状況や、追加する拡張機器の搭載状況などに応じ、ユーザー側で入れ替えて使用することを想定しています。
ROS1による制御に対応
メカナムローバーVer.3.0はROS(ROS1)メッセージ通信に対応しており、ROSが動作するデバイスとWi-FiまたはUSBケーブルで接続することで、rosserialのパッケージを用いたROS1のメッセージ通信が可能です。
標準ファームウェアでは、geometry_msgs/Twist型を使って、ROSからメカナムローバーに対して移動速度指令値を送信したり、メカナムローバーから現在速度やバッテリー電圧を取得したりすることが可能です。また、ユーザーの手によってファームウェアを変更することで、上記の他にも任意のメッセージを送受信することが可能です。
なお、ROSを動作させるデバイスは別途ご用意いただく必要があります。弊社で推奨するデバイスの動作環境は次の通りです(本製品に含まれないライブラリーなどのセットアップが追加で必要になる場合があります)。
【ROS使用時の推奨動作環境】
OS | Ubuntu18.04 (64bit) |
ROS | ROS Melodic |
CPU | AMD Ryzen5 3450U |
RAM | 8GB |
ストレージ | M.2 SSD 250GB |
グラフィック | Radeon Vega 8 Graphics |
※上記条件を満たしていても、相性などにより、正常に動作しない場合があります。
※仮想環境は、タイムラグにより安全な制御が行えない場合があり、推奨しておりません。
多彩なオプション品に対応
メカナムローバーVer.3.0は、旧製品と同様に数多くのオプション品に対応しています。用途に合わせてセンサーや構成部品を追加することが可能で、多様な研究・開発分野にて、大型の研究開発用台車ロボットの能力を存分に活用することができます。
ハードウェア構成
外形寸法図
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毎週配信を目標に取り組んでおりますので、動画をお楽しみ頂けましたらチャンネル登録・高評価をお願いします!!
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【その他解説動画】
製品仕様
サイズ | W323×D392×H165 (mm) |
本体重量 | 約17.9kg |
可搬重量 | 約40kg |
本体材質 | アルミニウム |
最高速度(実測値) | 1.6m/s |
バッテリー | 24Vシール鉛 288Wh |
駆動方式 | 四輪駆動メカナムホイール、サスペンション搭載 |
ホイール直径 | 152mm |
モーター | BLDCモーター 40W×4 |
制御基板 | VS-WRC058 |
SDK | メカナムローバーVer.3.0用 Arduinoライブラリ、ROSパッケージ |
インターフェース | USBシリアル、Wi-Fi(IEEE802.11b/11g/11n)、Bluetooth(Bluetooth Classic、BLE 4.2)
※Bluetoothの機能はソフトウェア的に未実装のため、ユーザーでの開発、実装が必要です。 |
収録サンプル |
Arduinoライブラリ
ROS用サンプルコード
- ゲームパッドからの操作
- マウス(タッチパッド)からの操作
- SLAM(gmapping)
- navigation
※本製品に含まれないライブラリなどのセットアップが追加で必要になる場合があります。
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付属品 | 充電器、無線操縦用ゲームパッド型コントローラー |
注文時オプション | レーザレンジファインダー、バンパーオプション(前後、全周囲)、拡張機器用電源基板 VS-WRC054、Raspberry Pi 4B、ワイヤレス充電、ROS PC、カメラステー、デプスカメラ、リモート制御、Jetson AGX Xavier、パンチルト装置、台車用ロボットアーム AMIR 740、リフトオプション、 @mobi対応ハードウェアセット |
※製品仕様その他は、予告なく変更する場合がございます。
※開発環境やROS環境はお客様にてご準備ください。
※Jetson AGX Xavier™搭載オプションにつきましては、入荷予定が立っていない為、現在は受注を受け付けておりません。
各種ダウンロード
【実用事例】
株式会社アーク様
新しさと親しみやすさをもった、手荷物輸送ロボット RAXii(ラクシー)
デザイン・設計技術を主軸とした製品意匠のカスタム開発サービス、簡易金型/型レス工法による小ロット樹脂製品の提供を事業とする株式会社アーク様より、大型商業施設で活躍するロボットのデザイン展開事例として、その駆動部分にメカナムローバーをご採用いただきました。
株式会社アーク
カスタマイズのご案内
研究開発用台車ロボットは、標準機では仕様を満たさない、別途機器を搭載して研究をしたいといった企業様向けに、ご要望に合わせたハードウェアのカスタマイスが可能です。カスタマイズにおける費用、納期については要件ごとに異なりますので、まずはお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら
※なお、お客様独自のシステムに関する開発・サポートは行っておりません。
- カスタマイズ事例
- A社:稼働時間を長くするためにバッテリーを増設
- B社:積載重量300㎏用にハードウェアの設計
- C社:別途機器を搭載するための取り付け穴を天板に追加工
- D社:別途機器を搭載するのためのやぐらの設計、取り付け
- E社:オプション品のLRFではなくユーザーが指定するLRFを取り付け
- F社:より強力なモーターへの変更
拡張用部材の搭載例(追加工無し)
よくあるご質問(FAQ)
- 製品のCADデータ・その他部品のCADデータは提供してもらえますか?
- 研究開発用台車ロボットシリーズにつきましては、製品本体、部品等のCADデータは提供しておりません。ご購入後にPDF形式の三面図データは提供可能です。
- 取扱説明書等はどのように入手できますか?
- 専用ページよりダウンロードいただけます。専用ページの情報は本体に同梱の案内用紙に記載されております。
- 屋外での使用はできますか?
- 研究開発用台車ロボットシリーズは屋内での使用を想定した機器となっております。そのため、防塵性能や防水性能は有しておりません。 また、屋外での使用についてはサポート対象外となります。
- 制御ソフトウエアのサポートは対応可能ですか?
- お客様独自の作業を要する事項についてはサポート対象外となります。
- 本製品を購入後、追加オプションの付加を行うことは可能でしょうか?
- 取付作業を弊社で実施する場合は、製品発送の送料及び取り付け費用を別途ご負担いただくことで対応可能です。オプションの内容により取り付け費用は異なりますので、まずはお問い合わせフォームよりご連絡ください。
【交換方法の解説動画はこちら】
- 天板への追加工やホイールベースの変更等は可能でしょうか?
- 内容によっては特注としてお受けできます。カスタマイズ事例をご確認の上、お問い合わせフォームよりご相談ください。
- Raspberry Pi設定に関するドキュメントはありませんか?
- Raspberry Piのセットアップに関する部分につきましてはサポート対象外とさせていただいております。Raspbianを使用される場合は、公式ドキュメントご参照ください。ROSberryPi
- 実機を見ることはできますか?
- ヴイストン株式会社の大阪本社にはデモ機がございますので、法人様に限りデモを行うことは可能です。
ご希望の方は事前にお問い合わせフォームよりご相談ください。
※現状、新型コロナウイルス感染症の影響によりWEB通話対応にて実施しております。
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NVIDIA、NVIDIA のロゴ、NVIDIA Jetson AGX Xavier は、NVIDIA Corporation の商標または登録商標です。
Arduinoは、Arduino AGの登録商標です。
UbuntuはCanonical Ltd.の商標または登録商標です。
AMD、AMD Ryzen、Radeonは、Advanced Micro Devices, Inc.の登録商標または商標です。
Bluetooth®は、Bluetooth SIG, Inc. USAの登録商標または商標です。
Raspberry PiはRaspberry Pi財団の登録商標または商標です。
ROSは、Open Source Robotics Foundation, Inc.によるオープンソースのプロジェクトです。
Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceの登録商標です。
その他、記載されている製品名などの固有名詞は、一般に各社の登録商標または商標です。