4WDSローバー X120Aは、四輪それぞれに独立したステアリング機構を搭載し、通常の車輪でありながら全方位への移動を実現した研究開発用台車ロボットです。
既発売の「4WDSローバー X40A」と同様の高い静粛性や制御性を備えつつ、大型モーターの搭載やフレーム構造の強化などを行い、可搬重量約120kgを実現しました。
四輪独立のステアリング機構を備える本製品は、「メガローバーVer.3.0」に代表される弊社製のROS対応研究開発用台車ロボットのラインナップ中でも、特に静粛性と制御性に優れています。
昨今の搬送用ロボットやコミュニケーションロボットの分野において求められる、「音声認識などを阻害しない静音動作」と「自動制御の基本となる高い位置決め精度」との両立を実現しており、高度なサービスロボットや特殊環境での搬送ロボットの研究・開発用途に適しています。
本製品においては、4WDSローバーの優れた基本性能をそのままに、可搬重量を約120kgまで大型化しており、様々な計測機器や演算装置などを搭載した上でも、さらに余裕のある耐荷重性能を提供します。
可搬重量約120kgを実現しつつ、静粛・正確な動作が可能
4WDSローバー X120Aは、四輪独立のステアリング機構(4WDS構造)を搭載しつつ、シリーズ最大となる約120kgの可搬重量を実現しています。
超大型の機体でありながら、実測で1.6m/sの動作性能や、四輪独立サスペンションによる安定した稼働など、高い実用性と安定性を備えています。
弊社製の研究開発用台車ロボットシリーズは、研究・開発用途に特化した台車ロボットという性質上、多種多様な研究用途に用いられ、計測機器や演算装置などを台車ロボットに搭載したいというご要望を多くいただきます。
本製品においては、研究開発用機材を台車ロボットに搭載しても、さらに余裕のある積載重量となっており、搬送・物流といった具体的な用途を見据えた研究目的に適しています。
特に、4WDS構造でありながら可搬重量約120kgを実現したモデルは弊社としてシリーズ初の開発・発売であり、「メガローバーF120A」「メカナムローバーG120A」と合わせて、研究開発用台車ロボットの超大型モデルのラインナップがさらに充実しました。
車輪の方式が異なる各シリーズの中でも、本製品は特に静粛性とステアリング動作の正確性に優れており、アルミフレームによる柔軟なカスタマイズ性能と組み合わせることで、これまでにない研究・開発プロジェクトの遂行を支援します。
※本製品は乗用を意図して設計されたものではありません。
また、大型の機体のため、開発や運用には十分な注意をお願いいたします。
全ての駆動輪に独立したステアリングを搭載(4WDS構造)
4WDSローバー X120Aでは、搭載する四つの駆動輪全てに独立して制御できるステアリング機構を備えています。
それぞれの駆動輪の角度や回転速度を適切に制御することで、台車ロボットの向きを変更しないまま前後・左右方向への移動が可能なほか、車輪を横滑りさせることなく超信地旋回(その場旋回)することもできます。
また、各車輪にはサスペンション機構を備えており、四輪が正しく路面に接地することで、直進性や制御の正確性が得られます。
オムニホイールやメカナムホイールなど、他の全方向移動用車輪と比較し、車輪そのものがシンプルな構造をしているため、汚れや砂塵に強いという点も特徴です。
※本製品は屋内専用です。屋外での使用は想定しておりません。
全ての駆動輪に独立したステアリングを搭載
有線 / 無線接続による制御が可能
4WDSローバー X120Aは、Wi-Fiによる無線通信と有線のUSBシリアル通信に対応しています。指定のコマンドを用いることで、PCやタブレットなど、様々なデバイスから制御することが可能です。
また、ロボット用無線コントローラー「VS-C3」が標準で付属するため、PC等を接続しなくても本体を無線操縦することができます。
アナログスティックを使用して、前後へ移動、回転させることもでき、動作確認のための手動操縦、非常時の操作手段等として使用可能です。
複雑な制御を容易に実装可能
四輪独立ステアリング機構で正確な移動を実現するためには、各車輪の角度と速度を適切に制御する必要があります。
本製品にはあらかじめ四輪独立ステアリング機構の制御システムが組み込まれているため、ユーザーは並進移動速度と旋回速度を指定するだけで、本製品を自由に走行させることが可能です。
移動機構を利用したソリューション全体の開発期間を短縮できるとともに、成果物の価値を向上させることに注力できます。
Arduino IDEでプログラム可能
本製品に搭載されている制御ボード「VS-WRC058c」には、ESP32-WROOM-32マイコンが搭載されており、Arduino IDEを用いて制御プログラムを作成することができます。
サンプルコードはArduinoライブラリーの形で製品に付属し提供されますので、ユーザー自身の手でファームウェアのカスタマイズを実施することも可能です。
※VS-WRC058cをArduino IDEを用いてプログラミングする場合、Arduino IDE 1.8.13以上が動作する環境が必要です。
拡張しやすいアルミフレームを採用
本製品の本体フレームはアルミ部材にて構成されています。十分な強度を持つと同時に加工が容易なので、ユーザー自身の手で、様々な拡張を容易に行うことができます。
上部天板に取り付け穴を開けて部品を追加することも可能で、研究・開発の推進に欠かせない自由な拡張性をもたらします。
ROS1による制御に対応
4WDSローバー X120AはROS(ROS1)メッセージ通信に対応しており、ROSが動作するデバイスとWi-FiまたはUSBケーブルで接続することで、rosserialのパッケージを用いたROS1のメッセージ通信が可能です。
標準ファームウェアでは、geometry_msgs/Twist型を使って、ROSから本製品に対して移動速度指令値を送信したり、本製品から現在速度やバッテリー電圧を取得したりすることが可能です。
また、ユーザーの手によってファームウェアを変更することで、上記の他にも任意のメッセージを送受信することが可能です。
なお、ROSを動作させるデバイスは別途ご用意いただく必要があります。弊社で推奨するデバイスの動作環境は次の通りです(本製品に含まれないライブラリーなどのセットアップが追加で必要になる場合があります)。
【ROS使用時の推奨動作環境】
OS | Ubuntu18.04 (64bit) | Ubuntu 20.04 (64bit) |
ROS | ROS Melodic | ROS Noetic |
CPU | AMD Ryzen™ 5 3550H | |
RAM | 16GB | |
ストレージ | M.2 SSD 250GB | |
グラフィック | Radeon™ Vega 8 Graphics | |
※上記条件を満たしていても、相性などにより、正常に動作しない場合があります。
※仮想環境は、タイムラグにより安全な制御が行えない場合があり、推奨しておりません。
非常停止スイッチを標準搭載
4WDSローバー X120Aには非常停止スイッチが標準搭載されています。本体から張り出したフレームに固定されているため、運用中のスイッチの押下をスムーズに行えます。
多彩なオプション品に対応
4WDSローバー X120Aは数多くのオプション品に対応しています。用途に合わせてセンサーや構成部品を追加することが可能で、多様な研究・開発分野にて、大型の研究開発用台車ロボットの能力を存分に活用することができます。
全周囲バンパー
バンパー、LRF、ROS PC、VS-WRC054
バンパー、LRF、ROS PC、VS-WRC054
カメラステー、デプスカメラ
Vstone公式YouTubeチャンネル
YouTubeチャンネルにて、弊社製品を題材とした解説動画や活用動画などを配信しております。
毎週配信を目標に取り組んでおりますので、動画をお楽しみ頂けましたらチャンネル登録・高評価をお願いします!!
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ハードウェア構成
※VS-WRC058cには、複数のホストと同時に通信する機能はありません。
※LRF(LiDAR)とデプスカメラは、Raspberry Pi 4に接続することも可能です。
寸法図
製品仕様
サイズ | W519×D476×H235 (mm) ※車高はサスペンションにより変化 |
本体重量 | 約43.6kg |
最高速度(実測値) | 1.6m/s |
可搬重量 | 約120kg |
本体材質 | アルミニウム |
バッテリー | 24Vシール鉛バッテリー 480Wh |
駆動方式 | 四輪駆動、独立ステアリング |
ホイール直径 | 170mm |
モーター | BLDCモーター 40W×4、105W×4 |
制御基板 | VS-WRC058 |
ROS対応 | ROS1に対応 |
SDK | VS-WRC058用 Arduinoライブラリー、ROSパッケージ |
収録サンプル |
Arduinoライブラリ
ROS用サンプルコード
- ゲームパッドからの操作
- マウス(タッチパッド)からの操作
- SLAM(gmapping)
- navigation
- その他各オプション用サンプルプログラム
※本製品に含まれないライブラリなどのセットアップが追加で必要になる場合があります。
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インターフェース | USBシリアル、Wi-Fi(IEEE802.11b/11g/11n)、Bluetooth(Bluetooth Classic、BLE 4.2)
※Bluetoothの機能はソフトウェア的に未実装のため、ユーザーでの開発、実装が必要です。 |
付属品 | 充電器、ロボット用無線コントローラー「VS-C3」 |
注文時オプション |
- レーザレンジファインダー
- バンパーオプション
- 拡張機器用電源基板 VS-WRC054
- Raspberry Pi 4B
- ワイヤレス充電
- ROS PC
- カメラステー
- デプスカメラ
- リモート制御
- パンチルト装置
- 台車用ロボットアーム AMIR 740
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※本製品は屋内専用です。屋外での使用は想定しておりません。
また、製品の仕様は予告なく変更となる場合があります。
各種ダウンロード
購入時オプション一覧
ご注文時にご依頼いただく事で、様々なオプションを取り付けた状態で発送いたします。
固定スペースと取り付けの仕様上、オプション品の組み合わせによっては通常とは異なる位置にオプション品を取り付ける場合がございます。
事前に取り付け位置の確認をしたい場合は、お問い合わせください。
- LRFオプション(TG30)
機体周囲の障害物等を検知するLRFを取り付ける、本体注文時の有償オプションです。
機体の前後左右に取り付けが可能です。
- バンパーオプション
壁等との衝突を検知できるバンパーセンサーをロボットの前後に取り付ける、本体注文時の有償オプションです。
- 拡張機器用電源基板オプション VS-WRC054
Raspberry Pi 4BやROS PCオプションなどの拡張機器を搭載した際に本体のバッテリーから電源を供給する、本体注文時の有償オプションです。Raspberry Pi 4Bオプション搭載時およびROS PCオプション搭載時には必須となります。
- Raspberry Pi 4B オプション
Raspberry Pi 4B 4GB版を取り付けて出荷する、本体注文時の有償オプションです。拡張機器用電源基板オプション VS-WRC054の同時発注が必須です。SDカードおよびOSイメージは付属しません。
- ワイヤレス充電オプション
無線充電の機能を追加する、本体注文時の有償オプションです。機体の前後左右に取り付けが可能です。
- ROS PC(NUC14) オプション
4WDSローバー X120Aに、ROSで制御するための環境構築済みPCを取り付ける、本体注文時の有償オプションです。拡張機器用電源基板オプション VS-WRC054の同時発注が必須です。
- ROS PC(UM760) オプション
4WDSローバー X120Aに、ROSで制御するための環境構築済みPCを取り付ける、本体注文時の有償オプションです。拡張機器用電源基板オプション VS-WRC054の同時発注が必須です。
- カメラステーオプション
別売のデプスカメラなどを固定できるカメラステーを取り付ける、本体注文時の有償オプションです。天板から265mmまでの任意の高さにカメラを固定でき、固定角度も調整可能です。理想的なカメラ位置・角度で運用が可能です。
- デプスカメラオプション
4WDSローバー X120Aに、深度情報を含んだフルカラーRGB画像が取得できるステレオカメラ(RGB-Dカメラ)を搭載する、本体注文時の有償オプションです。「カメラステーオプション」に含まれるカメラステーも本オプションに含まれます。
- リモート制御オプション(PCなし)
4WDSローバー X120Aに搭載するPC内でZoom社のWebミーティングを実行しつつ、遠隔地から台車ロボットの操縦を可能とする、本体注文時の有償オプションです。
本オプションにおいてはPC本体は別売となるほか、付属するドキュメントに従って専用サーバーなどの準備が別途必要となります。
- リモート制御オプション(PCあり)
4WDSローバー X120Aに搭載したPC内でZoom社のWebミーティングを実行しつつ、遠隔地から台車ロボットの操縦を可能とする、本体注文時の有償オプションです。
本オプションにおいてはPC本体も含まれますが、付属するドキュメントに従って専用サーバーなどの準備が別途必要となります。
- パンチルト装置オプション(カメラなし)
台車ロボットの天板に搭載可能なステーと、パン・チルトそれぞれに可動軸を持つカメラ台とを追加するオプションです。
- パンチルト装置オプション(カメラ付き)
台車ロボットの天板に搭載可能なステーと、パン・チルトそれぞれに可動軸を持つカメラ台とを追加するオプションです。
対応するデプスカメラが付属します(ROS PCオプションなど、デプスカメラを接続するためのROSデバイスが別途必要です)。
- 台車用ロボットアーム AMIR(アミル) 740
台車ロボットへの搭載に適したROS対応のロボットアームです。アーム単体での可搬重量2kgを実現しており、台車ロボット単体では難しい、対象物を掴む・持ち上げる・移動させるといった、複雑で多彩な用途に応用が可能です
(ROSで制御する場合、ROS PCオプションなどのROSデバイスが別途必要です)。
カスタマイズのご案内
研究開発用台車ロボットは、標準機では仕様を満たさない、別途機器を搭載して研究をしたいといった企業様向けに、ご要望に合わせたハードウェアのカスタマイスが可能です。カスタマイズにおける費用、納期については要件ごとに異なりますので、まずはお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら
※なお、お客様独自のシステムに関する開発・サポートは行っておりません。
- カスタマイズ事例
- A社:稼働時間を長くするためにバッテリーを増設
- B社:積載重量300㎏用にハードウェアの設計
- C社:別途機器を搭載するための取り付け穴を天板に追加工
- D社:別途機器を搭載するのためのやぐらの設計、取り付け
- E社:オプション品のLRFではなくユーザーが指定するLRFを取り付け
- F社:より強力なモーターへの変更
拡張用部材の搭載例(追加工無し)
よくあるご質問(FAQ)
- 製品のCADデータ・その他部品のCADデータは提供してもらえますか?
- 研究開発用台車ロボットシリーズにつきましては、製品本体、部品等のCADデータは提供しておりません。ご購入後にPDF形式の三面図データは提供可能です。
- 取扱説明書等はどのように入手できますか?
- 専用ページよりダウンロードいただけます。専用ページの情報は本体に同梱の案内用紙に記載されております。
- 屋外での使用はできますか?
- 研究開発用台車ロボットシリーズは屋内での使用を想定した機器となっております。そのため、防塵性能や防水性能は有しておりません。 また、屋外での使用についてはサポート対象外となります。
- 制御ソフトウエアのサポートは対応可能ですか?
- お客様独自の作業を要する事項についてはサポート対象外となります。
- 本製品を購入後、追加オプションの付加を行うことは可能でしょうか?
- 取付作業を弊社で実施する場合は、製品発送の送料及び取り付け費用を別途ご負担いただくことで対応可能です。オプションの内容により取り付け費用は異なりますので、まずはお問い合わせフォームよりご連絡ください。
【交換方法の解説動画はこちら】
- 天板への追加工やホイールベースの変更等は可能でしょうか?
- 内容によっては特注としてお受けできます。カスタマイズ事例をご確認の上、お問い合わせフォームよりご相談ください。
- Raspberry Pi設定に関するドキュメントはありませんか?
- Raspberry Piのセットアップに関する部分につきましてはサポート対象外とさせていただいております。Raspbianを使用される場合は、公式ドキュメントご参照ください。ROSberryPi
- 実機を見ることはできますか?
- ヴイストン株式会社の大阪本社にはデモ機がございますので、法人様に限りデモを行うことは可能です。
ご希望の方は事前にお問い合わせフォームよりご相談ください。
※現状、新型コロナウイルス感染症の影響によりWEB通話対応にて実施しております。
Arduinoは、Arduino AGの登録商標です。
AMD、AMD Ryzen、Radeonは、Advanced Micro Devices, Inc.の登録商標または商標です。
UbuntuはCanonical Ltd.の商標または登録商標です。
ZoomはZoom Video Communications, Inc.のサービスであり、ZoomロゴはZoom Video Communications, Inc.の登録商標です。
Bluetooth®は、Bluetooth SIG, Inc. USAの登録商標または商標です。
Raspberry PiはRaspberry Pi財団の登録商標または商標です。
ROSは、Open Source Robotics Foundation, Inc.によるオープンソースのプロジェクトです。
Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceの登録商標です。
その他、記載されている製品名などの固有名詞は、一般に各社の登録商標または商標です。